【2026年版】丸紅の強みとは?事業内容・ビジネスモデルを商社内定者が”抽象→具体”で徹底解説!|商社図鑑No.4<丸紅>

はじめに

今回は商社特集第四弾として丸紅株式会社を取り上げる。

丸紅は、「五大商社」と呼ばれる企業群のうちの一つに数えられる超大手企業。最近日曜劇場の『VIVANT』や人気歌手「Ado」とのコラボが注目を集めている同社だが、実は以前紹介した伊藤忠商事と同じルーツを持ち、その歴史は古くまでさかのぼる。

今回はこの丸紅について歴史から強み・課題まで深ぼっていこうと思う。

また、この特集は

・ビジネスパーソン
・商社内定を目指す就活生
・商社が何かわからない方

全ての方にとって有益となるよう執筆している。特に就活生の方に向けて、面接で必須となる抽象→具体の構成や、昨今流行りのキーワードを補足の形で記載しているため、是非企業理解や面接前の最終確認に活用してほしい。

1.丸紅とは?

五大商社の一角

五大商社とは、日本を代表する5つの総合商社(三菱商事三井物産伊藤忠商事丸紅住友商事)の総称である。世界中に広がるネットワークを活かし、資源・エネルギー・食品・金属・インフラ・モビリティ・化学品など、多岐にわたる分野で事業を展開している。

かつては「モノを売買する貿易会社」としての役割(トレーディング)が中心だったが、現在では企業や事業への投資、新規事業の立ち上げ、発電所や鉱山などの事業経営にも深く携わる「事業投資会社」としての側面が強い。世界規模で社会や産業を支える、日本を代表するグローバル企業群である。

丸紅はそんな五大商社の一角として、食料事業や電力事業に強みを持っている。

何をしている会社か

総合商社と言われても何をしているのかいまいちピンとこない読者の方も多いだろう。そこで、商社についてあまり詳しくない方でも理解できる”丸紅の凄さ”をお伝えしよう。

  • 日本が輸入する穀物・油糧種子の約20%を取り扱う、商社トップの穀物トレーダー。
  • コーヒー豆の国内取扱量は日本トップクラス。世界中から調達した豆は、コンビニやカフェ、缶コーヒーなど幅広い商品に使われている。
  • ラコステジャパンの主要株主として、ブランドの日本展開にも深く関与している。
  • 発電事業ではその持ち分発電容量の多さから、世界トップクラスの独立系発電事業者と評されている。

とにかく、穀物・コーヒー・電力に強く、我々の生活を大きいく支えている企業だと理解してもらえればよい。

伊藤忠商事との関係性

というのも、丸紅は「芙蓉財閥(グループ)」という企業集団の一員として知られている。

芙蓉グループ(ふようグループ、英語FUYO GROUP)は、安田財閥根津財閥浅野財閥大倉財閥等の系譜を引く企業と富士銀行(現みずほ銀行)の融資系列からなる企業集団である。芙蓉会、芙蓉懇談会に加盟する企業からなる。“芙蓉”の名は、中核だった富士銀行の“富士”の雅称に由来する[注 1]。芙蓉のローマ字表記の頭文字を取って「Fグループ」とも呼ばれる。

芙蓉グループ - Wikipedia

簡単に言えば、三菱・三井・住友の三大財閥以外の旧財閥の一部が集まってできた企業集団(財閥)だ。

参考までに、丸紅のメインバンクはみずほ銀行。つまり、丸紅が事業に巨額の投資をする際は、芙蓉のつながりを生かしてみずほ銀行に資金援助を依頼しているのだ。

歴史と価値創造モデル|伊藤忠商事株式会社

就活生人気ランキング上位常連

《2027年卒》伊藤忠商事が7年連続首位、就活人気は商社・金融が堅調、“安定×成長”と“インターン重視”がトレンドに[就職ブランド調査:2027年卒対象・前半]:東京新聞 × PR TIMES:東京新聞デジタル

丸紅も伊藤忠に次いで就活生に大人気。五大商社の中では男女比が比較的均等に近いということで、特に女子就活生に高い人気を誇っている。

業績好調~二年連続で最高益を更新~

丸紅の純利益が最高 27年3月期7%増、自社株買いを450億円追加|日本経済新聞

五大商社の中で”万年5位”と言われ続けてきた丸紅だが、近年業績は好調だ。2023年度決算では純利益で住友商事を抜き4位を獲得。また、2026年、2027年と二年連続で最高益を更新する見込みだ。

2.ビジネスモデル~総合商社の稼ぎ方~

総合商社のビジネスモデルを一言で述べるなら、

世界中の資源・企業・市場を結び付け、トレーディングと事業投資を通じて継続的に価値を創出するビジネスモデル

大きく分けると収益の柱は二本だ。

①トレーディング

商社が世界中の企業から商品を仕入れ、必要とする企業へ販売するビジネス。単なる仲介ではなく、物流・金融・在庫管理・情報提供なども組み合わせることで付加価値を生み出し、売買差益や手数料を得る。

  • ブラジルの大豆を日本の食品メーカーへ販売
  • 中東のLNGを日本の電力会社へ供給

×

②事業投資

将来性のある企業やプロジェクトに出資し、経営にも関わりながら企業価値を高めるビジネス。配当金や売却益だけでなく、投資先とのシナジーを生み出すことも目的。

  • 発電所への出資・運営
  • コンビニや食品会社への投資
  • 銅鉱山やLNG事業への参画

よく聞くサプライチェーンマネジメント(SCM)とは??

上記二つの方法を駆使して商材の供給網(サプライチェーン)全体を掌握、利益を獲得すること。

例えば、LNG事業なら、

  1. ガス田に出資する(事業投資)
  2. 採掘したLNGを世界中へ販売する(トレーディング)
  3. 船で輸送し、電力会社へ供給する(物流・販売)

というように、投資から販売まで一貫して関わることで大きな収益を生み出す。

3.主な事業

丸紅|統合報告書2025 P4

丸紅は「①既存事業の磨き込み・拡張」と「②成長への資本配分・投資戦略」を二つの軸として企業価値向上を図っている。

①は上図に記載されているような同社の主要事業。稼ぎ頭といってもよい。これらを総称して「戦略プラットフォーム型事業」と呼び、”成長領域×高付加価値×拡張性”を併せ持つ事業群として大切に磨いていこうという意図が読み取れる。

②はこれから成長していくであろう、新領域の開拓を示す。最近でいえば、新エネルギー関連事業や宇宙関連事業、半導体関連事業などに投資を強化している。

①の既存事業の一部について簡単に以下で説明しておこう。

農業資材販売事業

農業資材販売事業は、肥料や農薬、種子などの農業資材を供給するだけでなく、農家への技術支援やデータ活用を通じて、農業の生産性向上を支える事業である。近年は、人口増加や食料需要の拡大を背景に、高品質な農業資材やスマート農業へのニーズが高まっている。丸紅は販売から営農支援までを一貫して手掛けることで、農家の収益向上と安定した食料供給の実現に貢献している。

Helena社を中心とした農業資材販売事業

丸紅は、米国最大級の農業資材販売会社であるHelena社を通じて、肥料・農薬・種子など500種類以上の自社ブランド製品を販売している。また、農業・化学・生物学の専門知識を持つ人材が、農家ごとの課題やニーズに合わせて最適な資材を提案し、生産性向上を支援している。

北米モビリティ事業

丸紅は、北米で中古車販売金融会社Nowlakeと車両管理・リース会社Wheelsを中核に、モビリティ事業を展開している。車両の調達・リース・金融・管理・売却・部品販売までを一気通貫で提供する「モビリティプラットフォーム」の構築が特徴だ。リース収入やフリート管理などのストック型収益を積み上げながら、商用車リースやアフターパーツなど周辺事業にも拡大。米国シェア1位のWheelsを軸に、2028年3月期には連結利益560億円を目指している。

電力卸売・小売事業

丸紅は、電力卸売・小売事業を通じて、電源の分散化や再生可能エネルギーの普及に対応した安定的な電力供給を推進している。英国発のSmartestEnergyを中核に、日本・米国・豪州へ事業を展開し、世界で電力トレーディングや小売事業を拡大。丸紅新電力では、電力小売に加え、需給管理や再エネ電力の調達・販売など幅広いサービスを提供している。再生可能エネルギーや蓄電池など新たな分野にも事業を広げ、2028年3月期には連結利益300億円を目指している。

4.強み

まずは組織的な強みから。
※こちらは<抽象>パート。後に<具体>で紹介する事業の強みは、これらの力の具現化(具体例)として捉えていただきたい。

丸紅の強みは以下の3つ。

一つずつみていこう。

”Grobal crossvalue platform”の構築力

”Grobal crossvalue platform”とは丸紅が掲げる新たな自社の在り方。単に各事業部が個別に利益を追求するのではなく、社内外のあらゆる知見やネットワークを掛け合わせ、新たな価値を創出するという考え方だ。丸紅は自社を一つのプラットフォームとして捉え、各事業・地域・人材の持つ強みを”クロス”させることで、単独の事業では生み出せないビジネスを創出している。

この考え方の根底にあるのが、同社が掲げる「できないことは、みんなでやろう。」という姿勢である。総合商社が扱うビジネスは、食料、エネルギー、モビリティ、金融など多岐にわたり、一つの部署や一人の社員だけで解決できる課題は限られている。だからこそ、部署や会社の枠を越えて、それぞれの専門性やネットワークを持ち寄ることで、単独では不可能だった挑戦を可能にする。丸紅にとって、組織の大きさは単なる規模ではなく、新たな価値を生み出すための財産なのである。

12/31掲載(丸紅の2ページ見開き二連版広告)|日本経済新聞

挑戦に寛容な文化

そして、この横断的な連携を可能にしているのが、丸紅独自の挑戦に寛容な文化である。同社では、既存事業を守るだけではなく、新しい領域へ踏み出す社員の意志を尊重してきた。例えば、社員が部署の垣根を越えて新規事業創出に取り組める仕組みや、多様な人材がつながる環境を整備しており、個人の挑戦を組織全体で支える風土が形成されている。

同社の”寛容かつ柔軟な文化”は以下の新入社員インタビューにも掲載されている。

私は最初ネガティブなイメージもありました。丸紅はある種伝統的な大企業ですし、やはり堅苦しくて動きづらい雰囲気もあるのかなと思ったんです。

新入社員が驚愕した丸紅の柔軟性とスピード感 深く・広い事業へのコミットが生み出す成長機会

裁量の大きさには驚きました。大企業はトップダウンの意思決定が当たり前だと思っていたのですが、デジタル・イノベーション部ではすぐ意思決定のボールが自分に回ってくる

私自身、学生の頃にスタートアップでインターンをしていたことがあるのですが、正直スタートアップと遜色ないような柔軟性とスピード感がある組織だな、と。

新入社員が驚愕した丸紅の柔軟性とスピード感 深く・広い事業へのコミットが生み出す成長機会

こうした文化があるからこそ、丸紅は既存の商流に依存するのではなく、時代の変化に合わせて新たな収益源を育てることができる(柔軟性)。つまり、Global crossvalue platformによる組織の掛け算と、挑戦を後押しする人の力が組み合わさることで、丸紅は環境変化に対応しながら事業領域を広げる力を持っているのである。

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非資源分野の収益基盤 ―

丸紅は総合商社の中でも特に非資源分野に強みを持つ企業である。資源価格の変動によって業績が左右されやすい商社業界において、同社は食料・アグリ事業、生活産業、電力・インフラなど、安定的に収益を生み出す事業群を育ててきた。例えば、農業分野では米国最大級の農業資材販売会社であるHelena社を通じて、肥料・農薬・種子などを農家へ提供しており、単なる商品の仲介にとどまらず、現地の農家に密着したソリューション型のビジネスを展開している。

この非資源分野での強さを支えているのが、まさにGlobal crossvalue platformの考え方である。食料、化学、物流、金融など、社内に蓄積された幅広い知見やネットワークを組み合わせることで、一つの事業領域だけでは生み出せない価値を創出している。つまり、「できないことはみんなでやろう」という文化によって、各事業の点を、さらにはへと広げることで、丸紅独自の収益基盤を形成しているのである。


米国における競争力 ―

丸紅のもう一つの大きな強みが、米国市場における競争力である。米国は世界最大級の市場規模を持つ一方で、現地企業との競争も激しい。その中で丸紅は、長年にわたり現地企業への投資や事業運営を積み重ね、単なる日本企業の海外進出ではなく、「現地に根付いた事業会社」として成長してきた。

特に、北米モビリティ事業では、商社として培ってきたネットワーク構築力と、現地企業との関係性を活用し、自動車販売金融やディーラー事業など、川上から川下まで幅広い領域へ展開している。これは、単に海外へ投資するだけではなく、現地のパートナーとともに新たな事業を作り上げる丸紅の挑戦文化があったからこそ実現したものである。

同社が作成した以下の資料より、同社がどれだけ米国展開を重視しているかが理解できる。

Our Values|丸紅(P6)

5.課題

① 非資源分野のさらなる収益力向上

丸紅は、総合商社の中でも特に非資源分野に強みを持つ企業である。食料・アグリ事業、電力、生活産業など、資源価格に左右されにくい安定した収益基盤を築いてきた点は大きな強みである。

一方で、非資源分野は資源事業と比較すると、一つの案件から得られる利益規模が限られるという側面もある。三菱商事や三井物産が、資源権益から得られる巨額のキャッシュを活用して大型投資を進めてきた一方、丸紅がさらなる成長を実現するためには、既存の強い事業を組み合わせ、新たな成長事業を生み出す必要がある。

特に、農業・食料・電力など丸紅が強みを持つ分野は、今後も成長余地がある一方で、競合商社や海外企業との競争も激しい。単に既存事業を拡大するだけではなく、Global crossvalue platformを活用し、複数事業を掛け合わせた新たな収益モデルを構築できるかが重要になる。

→課題:既存の安定収益を、次世代の大型事業へどう発展させるか

② 海外事業における「現地経営力」のさらなる強化

丸紅は、米国を中心とした海外事業に強みを持つ。Helena社を通じた農業資材事業や北米モビリティ事業など、海外企業への投資・事業運営を通じて現地に根付いたビジネスを展開している。

一方で、今後さらなる成長を目指す上では、単に海外企業へ投資するだけではなく、現地企業とともに事業を成長させる経営力の強化が求められる。

総合商社の競争力は、世界中のネットワークを活用して投資先の価値を高める力にある。三菱商事や三井物産は長年培った海外ネットワークや大型資源案件を通じて、グローバル経営人材を蓄積してきた。丸紅も近年は海外事業を拡大しているが、今後は”世界各地で”事業をリードできる人材をさらに育成できるかが重要になる。

→課題:海外投資企業を「保有する会社」から「成長させる会社」へ進化できるか

③ 総合商社としての存在感・ブランド力の向上

丸紅は、非資源分野や海外事業において独自の強みを築き、近年では業績面でも大きく成長を遂げている。一方で、三菱商事・三井物産といった財閥系商社と比較すると、企業規模や世間からの認知度、グローバルネットワークの厚みでは依然として差がある。

総合商社の競争力は、単なる資金力だけではなく、世界中の企業や政府から「一緒に事業を作りたい」と選ばれる信用力にも支えられている。特に大型案件では、長年培われたブランドやネットワークが新たなビジネス機会につながることも多い。

丸紅は、農業、電力、モビリティなど特定分野で高い競争力を持つ一方、今後さらに世界規模で成長するためには、個別事業の強さを「丸紅だから任せたい」という企業ブランドへ高めていくことが求められる。

→課題:個別分野の強みを、総合商社としての世界的なブランド力へどう広げるか

まとめ

丸紅は、伊藤忠商事と同じルーツを持ちながら、独自の進化を遂げてきた総合商社である。

かつては「五大商社の中では規模で劣る」と見られることもあった同社だが、現在では食料・アグリ、電力、モビリティなど、生活や産業を支える幅広い分野で確かな競争力を築いている。その背景にあるのは、単なる事業規模ではなく、社内外の知見を掛け合わせる「Global crossvalue platform」と、失敗を恐れず新たな領域へ挑戦する柔軟な企業文化である。

特に、非資源分野における安定した収益基盤や、米国市場での現地密着型の事業展開は、丸紅が長年培ってきた「人と事業をつなぐ力」の結晶と言える。総合商社の価値が、単なる商品の仲介から事業を創造する力へ変化する中で、丸紅は自らの強みを活かしながら存在感を高めてきた。

一方で、今後さらに世界を舞台に成長していくためには、既存事業を磨くだけではなく、新たな成長エンジンの創出や、海外で事業を動かす経営人材の育成が不可欠となる。

「できないことは、みんなでやろう。」

この言葉が示すように、丸紅の最大の強みは、一人や一つの事業では成し遂げられないことを、組織全体の力で実現する姿勢にある。今後、この強みをどこまで世界規模の価値創造につなげられるか。丸紅のさらなる挑戦に注目したい。